- 自己都合退職と会社都合退職の違い
- 自己都合退職と会社都合退職の影響
- 退職理由の変更される可能性
退職には大きく分けて「自己都合退職」と「会社都合退職」の2パターンがあります。
社会人経験があまりない方や転職経験のない方は「なんとなく聞いたことがあるけど、違いはよくわからない、、、」という方も多いでしょう。
この2つの退職パターンは、”会社を辞める”という点では同じですが、失業給付金や退職金の受け取り、転職時の待遇など様々な違いが出てきます。
そこでこの記事では「自己都合退職」と「会社都合退職」の違いから、退職後に出る影響、注意点について解説していきます。
自己都合退職と会社都合退職の違い

退職にあたって、まず確認すべきは「自己都合退職」と「会社都合退職」という2つの退職の形態の違いです。
これらは手続きだけでなく、失業保険の受給や社会的評価などにも直接影響します。
まずは、それぞれの形態の定義と基本的な流れを理解することから始めましょう。
自己都合退職の概要と特徴
自己都合退職とは、「労働者本人の意思で会社を辞める」退職のことを指します。
主にキャリアチェンジや家庭の事情、健康問題などが理由となります。
退職の際には、通常最低でも2週間前までに退職の意思を伝える必要があります。
自己都合退職の場合、失業保険の受給開始が2〜3ヶ月後になる「給付制限」があることが多く、金銭面の準備も求められます。
また、再就職活動においても「自己都合で辞めた」という点が面接で問われることがありますので、理由や説明の準備も必要です。
- キャリアアップ
- 結婚や転居
- 介護や病気などの家庭の事情
- 懲戒解雇や懲戒免職 など
会社都合退職の概要と特徴
一方、会社都合退職とは、企業側の事情により退職が決まるケースです。
代表的な理由にはリストラや業績不振、事業所の閉鎖などがあります。
法律上、労働者を守るための制度が整備されており、会社都合退職者は自己都合よりも早く失業保険を受給することができます(原則7日間の待機期間のみ)。
また、退職金の上乗せや再就職支援が提供されることもあり、一定の手厚い保護が受けられるのが特徴です。
- 会社の倒産や破産
- 経営悪化によるリストラ
- 普通解雇
- 有期雇用(派遣やアルバイトなど)の雇い止め
- パワハラやセクハラの被害にあった
- 雇用契約書と仕事内容が違う
- 希望退職制度を利用した
- 給与の未払い・カットがあった など
自己都合退職と会社都合退職のメリット・デメリット

自己都合・会社都合のどちらの退職形態にも一長一短があり、できる限り自身の状況や将来のキャリア設計に合わせて選択する必要があります。
ここでは、自己都合と会社都合、それぞれのメリット・デメリットを整理しながら、比較して解説します。
自己都合退職のメリットとデメリット
自己都合退職の最大の利点は、退職のタイミングや転職活動の開始時期を自分でコントロールできる点にあります。
職場と円満に話し合いを進めやすいというのも、精神的な負担軽減に繋がります。
ただ、失業保険の給付開始が遅れる点や退職理由によっては再就職活動に影響が出る恐れもあります。
また、退職金や手当なども条件によっては減額されることも予想でき、事前の確認も欠かせません。

自分のタイミングで辞められるケースが多いが故に事前の準備も必要です!
会社都合退職のメリットとデメリット
会社都合退職では、法的に保護される制度が多く、退職後の生活に対するサポートが手厚いのが特徴です。
特に失業保険の早期受給や各種再就職支援プログラムの利用が可能になる点は、安心材料となります。
ただし、突然の通告による精神的ショックや社内での調整が不透明なまま退職を強いられるケースもあり、心身への影響は心配です。
また、会社側が会社都合を避けたい場合には、トラブルに発展する可能性もあるため注意が必要です。
転職時の書類選考・面接では会社都合の方が不利になるケースもあります。



会社都合が原因なら、履歴書などの備考欄に理由を書くのもありです!
自己都合退職と会社都合退職のそれぞれの影響


2つの退職の違いは、ご自身の退職後の生活にも影響が出てくる可能性があります。
それが「退職金」「失業給付金」「転職活動」の3つの影響です。
- 退職金の額に差が生まれる
- 失業給付金
- 転職活動
影響1:退職金の額に差が生まれる
会社の就業規則によっては、自己都合と会社都合でもらえる退職金の額が変わってくることがあります。
退職金制度のある会社では、雇用形態や勤続年数、役職などによって金額が異なっています。
ですので転職や結婚などで会社を辞める自己都合退職では、「勤務年数が浅い」「役職が低い」といったことがあるためもらえる退職金の金額も少なくなります。



退職金の減額や不支給などは就業規則に書かれているので、事前にチェックしましょう!
影響2:失業給付金
失業給付金は自己都合より会社都合の方が優遇されています。
自己都合 | 会社都合 | |
---|---|---|
給付開始日(最短) | 2〜3ヶ月 | 7日後 |
給付日数 | 90〜150日 | 90〜330日 |
給付額(最大) | 約118万円 | 約260万円 |
給付制限 | あり | なし |
自己都合の場合にはある程度自分で退職するタイミングを作れるのに対して、会社都合は個人ではどうにもできない状態が多いことが影響しています。
影響3:転職活動
転職活動を行う場合の履歴書の記載内容や面接での対応にも影響が出てきます。
自己都合の場合、履歴書には「一身上の都合により退職」と記載、会社都合退職の場合は「会社都合により退職」と記載します。
書類選考や面接では会社都合だと不利になってしまうケースもあります。
例えば、自己都合の場合だと『キャリアアップのため』など前向きな転職であることも多いです。
反対に会社都合の場合だと退職理由に不安を持たれてしまう可能性があります。
会社都合の方は履歴書の備考欄などに「会社の倒産のため」といった退職理由を添えておくと良いでしょう。



面接で聞かれたら真実を伝え、「意欲的に勤務したい」「経験を踏まえ活躍したい」など前向きな気持ちを伝えると心証もより良くなる!
会社が会社都合を選ばない理由と背景


企業側は、正当な理由があっても必ずしも「会社都合退職」として処理するとは限りません。
実際、多くの企業が「自己都合退職」を促す傾向にあります。
その背景には、経営上のリスク回避や法的トラブルの防止など、複数の理由が存在しています。
企業側の判断基準と経営戦略
企業が退職形態を決定する際には、経費削減や業務調整、人員配置の最適化などを総合的に考慮します。
会社都合を増やすと、雇用保険の負担増や行政からの指導が入るリスクが高まるため、企業としてはできるだけ避けたいと考えるのが一般的でしょう。
また、社員の離職が表立つことで社外に悪影響を及ぼす可能性も考えられます。



企業イメージ維持の観点からも慎重な対応が取られています!
会社都合退職を避ける理由
会社都合退職には、法的手続きや労働局への報告義務など、煩雑な対応が求められます。
そのため、企業としては「なるべく穏便に済ませたい」という意図から、社員に自己都合退職を促すケースが少なくありません。
さらに、会社都合が続くと企業の経営状態が悪いと判断され、採用活動や取引に影響が出ることも予想できます。



こうした背景も、企業側が会社都合を避けたがる理由につながっています!
自己都合退職と会社都合退職は変更される可能性もある!


一度は自己都合として処理されたケースでも、実は会社都合に該当する要素があれば、後から変更を申し出ることが可能です。
また、中には自己都合・会社都合といった退職理由を「勝手に変更されてしまう」「変更を依頼される」場合もあります。
制度上、明確な条件と証拠があれば、雇用保険の手続き上で訂正されるケースもあります。
- 会社から「自己都合」と頼まれる
- 離職票の退職理由が間違っていた
- 変更が可能な条件と手続きの流れ
- 変更に伴う留意点とリスク管理
会社から「自己都合」と頼まれる
本来は会社都合退職の場合でも、会社から「自己都合にしてくれないか?」と頼まれるケースがあります。
というのも会社都合で従業員が退職してしまうと、会社は厚生労働省からの助成金をもらえなくなる可能性があるからです。
ご自身が納得して自己都合になるなら問題はありませんが、転職先が見つかっていない場合は失業給付金の受け取りなど、会社都合の方がメリットが多いこともあります。



変更されることを望まない場合には、提案はキッパリと断った方が良いでしょう!
離職票の退職理由が間違っていた
退職時に会社とトラブルになった場合、送られてきた離職票の退職理由を故意に間違えられることがあります。
例えばパワハラやいじめ、雇用契約書と仕事内容が違ったといった理由では「本来なら会社都合」となります。
しかし、助成金のことや従業員への嫌がらせを考える会社では「自己都合退職」と記載することもあるでしょう。



この場合は『ハロワに相談する』『第3者(弁護士や代行業者)から会社側に修正依頼をする』を選ぶ!
変更が可能な条件と手続きの流れ
自己都合から会社都合へ変更するには、会社の都合で実質的に退職が強いられた事実を証明する必要があります。
たとえば、人員削減や配置転換の強要、長時間労働やハラスメントなどが理由となります。
変更申請には、退職理由を示す書面や当時の状況を記録した証拠などが求められます。
ハローワークに相談することで、具体的な手続きや証拠の整え方についてアドバイスを受けることも可能です。
変更に伴う留意点とリスク管理
退職理由の変更を申し出ることは、企業側との関係を悪化させる可能性があります。
また、証明の難しさや申請却下のリスクも予想しておくべきです。
変更に臨む際には、感情的にならず、事実と証拠に基づいて冷静に対応することが重要です。
ハロワや労働組合、弁護士などの助言を受けながら、正当な手続きを進めることが安心につながります。
初めての退職代行の利用で安心して辞めるために


退職代行サービスは、近年利用者が増加していますが、初めて利用する方にとっては不安がつきものです。
適切なサービスを選び、安心して依頼するためには、基本的な知識と心構えが必要です。
退職代行は、依頼者に代わって会社とのやり取りを行う専門のサービスです。
サービスを利用することで、直接上司・会社に退職を伝える必要がなくなり、精神的なストレスが大幅に軽減されます。
労働組合や弁護士が運営している業者もあり、会社都合退職の主張など、法的な交渉が必要な場面にも対応できるケースもあります。
業者を選ぶ際には、「実績のある業者」「明確な料金体系」などを確認してから依頼することがおすすめです。



利用前には退職理由や現在の状況を整理しておくと、スムーズな依頼が可能になるでしょう!
自己都合退職・会社都合退職について:まとめ
この記事では、自己都合退職・会社都合退職の違いやそれぞれの影響、注意点などについて詳しく解説してきました。
自己都合退職と会社都合退職には、それぞれ異なる特徴と影響があります。
会社側の意図や制度上の仕組みを正しく理解した上で、自分にとって最も有利な選択をすることが重要です。
また、退職に対する不安やストレスを軽減するためにも、退職代行サービスなどのサポートを上手に活用するのもおすすめです。
初めての退職でも、正しい情報と信頼できるサービスがあれば、安心して次のステップに進むことができるでしょう!